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里山レスキューと薪の生産・販売

当社の薪は、石川県と富山県の県境にある医王山山麓に広がるナラ・クヌギが主要な雑木林から伐採し生産しています。
昭和30年代までは、薪や炭の生産が行われることにより循環型の伐採と育林が行われていました。それにより、奥山と里の間に存在する里山として豊かなそして多様な生物が生息出来る自然環境が保全されてきました。
里山問題
しかし、その後、石油エネルギーへの転換と都市部への人口集中により里山は次第に荒廃していきます。「奥山」と「里」、いわゆる人間と野生動物との境界として存在していた「里山」の消滅により熊やイノシシ・サル等に代表される野生動物と人間のニアミスが多発するようになってきました。 そして、里から蛍やトンボが消えていきました。里山であったその場所には雑木の弱り切った巨木と倒木の荒廃した森が残りました。昼でも暗い森の地表にはかつて育った山菜やキノコは見当たらなくなりました。そのような荒廃した雑木林は近年害虫の被害が発生し、益々荒廃しようとしています。


昔、当地では積雪のある冬季は農閑期の仕事として炭焼きが行われていました。炭の生産を行う場合、ナラ等の木を地上から50cmから100cmの高さで伐採しました。(積雪があるから根元から伐採出来なかったわけではありません。)そうすると、春になると萌芽更新(切り株から新しい芽が出てきます)が起こり、新しい木の芽が切り株から沢山発生します。
萌芽更新
根っ子は大きな地上の木を支えるだけの水分や栄養分を吸い上げるだけの能力を備えている訳ですから、木の芽はぐんぐん成長し、30年もすれば立派な雑木林に再生されました。地上に新たな苗を植えると、雑草やクマザサとの成長競争に負けてしまいます。苗よりも早く成長する雑草や、クマザサに太陽光を奪われてそのうち消滅する苗がほとんどです。しかし、地上高50cmから100cmのハンディと逞しい根という優越性を貰った木の芽は苗と比べて10年も早く成長することもあるのです。そして、またその部分を伐採し炭や薪を生産する事が出来るわけです。


太陽を全身に浴びて育つナラ等は30年程度でco2の吸収量はピークに達しその後は減少すると言われています。今の荒廃したかつての里山の森はco2の吸収能力すらその潜在能力を発揮できない状態になって来ていると云う事です。
荒廃した、かつての里山を若々しい里山に再生し、多様な自然と生物と人間が共生できる里山を子孫に残すために私たちは挑戦をはじめました。


里山問題しかし、かつての里山のナラ林とちがい、荒廃した森と化した弱り切った巨木は萌芽更新をする元気さえ残っていないものが多数を占めています。従って、伐採と伴に、植生と下草刈が必要な場合も多く見受けられます。
また、荒廃した雑木林の租税負担は所有者に重くのしかかってきており、雑木林からの生産物が望めない事でほとんど維持管理が不可能となっています。ボランティア活動やNPO法人による活動も継続性という観点からは補助金や助成金による維持管理の中での成り立ちという面が見受けられ、永続性に限界があるように思われます。つまり、雑木林を経済資源として利活用し経済活動の中で維持管理していく事、継続的に経済事業活動として実施する事が重要だということです。

里山レスキュー
そこで、私たちは、雑木林を山林所有者から借受け、計画的に薪を生産しようとしています。(借受け雑木林を30分割し30年サイクルの中で伐採し薪を生産します。) そして薪は薪ストーブの利用者に販売する事により里山の維持管理費用を捻出するとともに、里山の維持管理という仕事=雇用を生み出します。
また、薪ストーブユーザーには、毎年安定的に薪を供給するという代わりに、その里山の里親として登録していただき、春夏秋冬いつでも当地に立ち寄って戴き、家族で山菜やきのこの収穫等、自然とのふれあいを楽しんで戴くことにより、里山の人々との交流を温めるなど都市と農村の交流の起点をつくります。